条件を消すのではなく、読み替える
変形地と聞くと、間取りが制限される、暗くなりそう、窮屈かもしれない——そんな印象を持たれることがあります。この住まいでは、その条件を無理に押し切るのではなく、いったん受け止め、発想を切り替えるところから考え始めました。
外に向かって大きく開くのではなく、内側に向かって整えていく。コートハウスの考え方をベースに、敷地の形そのものを、ひとつの前提として組み立てています。
光は「量」ではなく「配置」で決まる
変形地で開放感をつくるために、大きな開口や、全面ガラスを選んだわけではありません。代わりに大切にしたのは、光が入ってくる「場所」と「高さ」でした。
中庭を介して、空から落ちてくる光。高窓から差し込み、壁や天井を伝いながら広がる明るさ。時間帯によって、少しずつ表情を変える陰影。直射日光で満たすのではなく、その場所で過ごす時間に合った光を、必要な分だけ届ける。その積み重ねが、開放感と落ち着きの両立につながっています。

開放的でありながら、リラックスできる理由
この住まいが目指したのは「明るい家」というよりも、気持ちがゆるむ家でした。
外からの視線はやわらかく遮りながら、空の気配だけは、室内へと引き込む。視線が抜ける場所と、包まれるような居場所を、静かに切り分けています。コートハウスという考え方があるからこそ、変形地であっても、落ち着いて、長く寛げる場所が生まれています。
思想を、現実の敷地条件へ落とす
こうした住まいは、アイデアだけで自然に立ち上がるものではありません。敷地の形、構造、光の入り方、室内環境。それぞれを、同時に成立させていく必要があります。
私たち小山木材は、設計の思想と、現実の敷地条件のあいだに立ちながら、「この土地で、どんな暮らしができるか」を少しずつ具体にしていきます。変形地だから諦めるのではなく、変形地だからこそ生まれる住まいのかたちを、ひとつずつ、組み立てていくように。

比較検討のための、ひとつの事例として
この事例が、すべての土地に当てはまる答えだとは考えていません。
ただ、敷地条件に少し不安を感じている方や、思想には共感しつつ、現実との距離を測っている方にとって、ひとつの判断材料になればと思っています。条件の中から、どのように光を組み立て、どのように居心地をつくっていくのか。
その一例として、こちらの住まいをご覧いただければと思います。
→ 施工事例「OR」